旧大庄屋役宅書院(みなかみ町)概要: 旧大庄屋役宅書院は江戸時代後期の天保12年(1841)、四代目河合定右衛門が大庄屋(東峰須川村など7ヵ村の名主)に就任した際、領主である伊丹氏(旗本:1100石)が領内の拠点として用人である内山忠太夫に命じて建てさせたもので翌、天保13年(1842)に竣工しています。
旧大庄屋役宅書院は、木造平屋建、寄棟、金属板葺き(元萱葺)、平入、間口3間、奥行5間、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ、式台付きの玄関を境に庄屋の母屋とは繋がれ、内部は玄関(8畳)、控の間(10畳)、上段の間(8畳)などがL字型に配されています。当初は書院と母屋とは独立した存在でしたが明治維新後は伊丹氏の支配が解かれていた事もあり明治22年(1889)に母屋が再建された際、玄関の間が増築され書院と一体化したと推定されています(当初は上段の間と控の間が続き座敷に玄関が増築された為L字型になった)。上段の間は隣接する控の間より約18cm程床が高く「床の間(男床:オドコ)」、「違い棚(女床:メドコ)」、「付け書院」、「帳台構え」などを備えるなど格式の高いもので意匠的にも優れています。又、上段の間からは敷地背後に配された庭園が眺められるようになっており、領主がひと時の休息を楽しんだのかも知れません。旧大庄屋役宅書院は現存する農家の書院建築は全国的に見ても珍しく江戸時代後期に建てられた数少ない書院建築の遺構で当時の歴史を伝える貴重なものとして昭和27年(1952)に群馬県指定重要文化財に指定されています。又、多くの古文書も大切に保管されています。
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