冠稲荷神社

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概要・歴史・観光・見所

冠稲荷神社(太田市)概要: 冠稲荷神社は群馬県太田市細谷町に鎮座している神社です。冠稲荷神社の創建は不詳ですが古代には既に鎮座し、上野国(現在の群馬県)の著名な神社を列記している上野国神名帳(平安時代後期に成立?)には宿穴伏明神として記載されていました。

平安時代後期の大治2年(1125)、新田氏の祖となった新田義重の父親にあたる源義国が居館から境内が北東方向にあたることから鬼門鎮護の為、改めて創建したと伝えられています。承安4年(1174)には源義経が平泉(岩手県平泉町)へ下向途中、自らの烏帽子(冠)の中に祀っていた京都伏見稲荷の分霊を当神社に収め道中安全を祈願したとされます。

中世は新田氏が庇護し特に新田義貞の崇敬篤く数々の宝物や社領を寄進し鎌倉時代末期には倒幕の戦勝祈願が行われました。江戸時代に入ると歴代領主である大久保、赤井、筒井伊賀守、村上大和守の諸氏達や豪商三井家が庇護し社領の安堵や社殿の造営、改修などを行っています。

冠稲荷神社は、伏見稲荷大社(京都府京都市伏見区深草藪之内町)、豊川稲荷(愛知県豊川市豊川町※現在の円福山豊川閣妙厳寺)、信太森葛葉稲荷神社(大阪府和泉市葛の葉町)、王子稲荷神社(東京都北区岸町)、嬬恋稲荷(東京都文京区湯島※現在の妻恋神社)、一瓶塚稲荷神社(栃木県佐野市田沼町)と共に日本七社(日本七稲荷)の一つに数えられています(※日本七社の定義不詳)。

現在の冠稲荷神社拝殿は江戸時代後期の寛政11年(1799)に再建されたもので、木造平屋建て、入母屋、銅板葺き、正面には千鳥破風、唐破風向拝が設えられており、建物全体が極彩色で彩られています。

冠稲荷神社本殿は江戸時代中期の享保7年(1722)に再建されたもので三間社流造り、銅瓦棒葺き、正面には千鳥破風、唐破風付向拝、建物全体が中国の故事を模した彫刻などが施され極彩色で彩られています。

聖天宮は江戸時代末期の安政4年(1857)に建立されたもので一間社入母屋造、妻入、銅板葺き、正面に唐破風を設え建物全体が極彩色で彩られています。冠稲荷神社、拝殿、本殿、聖天宮は江戸時代の社殿建築の遺構として貴重な事から太田市指定重要文化財に指定されています。

又、境内のボケ(推定樹齢300年、樹高3.5m、周囲3m、枝張り9m四方)は当地域を代表するボケの古木大木として貴重な事から昭和30年(1955)に群馬県指定天然記念物に指定されています。

例祭(3月の初午祭・7月夏祭)に奉納される獅子舞(鎌倉時代から・1人立ち三頭獅子)は古式を伝える行事として貴重な事から平成6年(1994)太田市指定重要無形民俗文化財に指定されています。

文化11年(1814年:最上流算額・大川直信らが奉納)と文化9年(1812年:関流算額・金井多門良之が奉納)に奉納された算額が昭和47年(1972)群馬県指定重要文化財に指定されています。祭神:稲荷大神。

冠稲荷神社:上空画像

【 参考:サイト 】
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公式ホームページ


冠稲荷神社:ストリートビュー

冠稲荷神社:本殿・拝殿写真

冠稲荷神社境内正面に設けられた朱色の大鳥居
[ 付近地図: 群馬県太田市 ]・[ 太田市:歴史・観光・見所 ]
冠稲荷神社参道石畳みに設けられた石鳥居と燈篭 冠稲荷神社石畳みから見た拝殿正面と石造狛狐 冠稲荷神社本殿に施された様々な彫刻と透塀 冠稲荷神社境内社である聖天宮の社殿
冠稲荷神社拝殿の前に置かれた御神水と賽銭箱 冠稲荷神社の境内に生える「木瓜(ボケ)」の古木 冠稲荷神社境内に設置された手水鉢 冠稲荷神社境内に建立されている神楽殿と神輿
独り言
冠稲荷神社がある群馬県は源義経伝説を伝える場所は比較的少ない地域です。一般的には南北朝時代から室町時代初期に編纂されたと推定されている「義経記」の影響により日本海側の都道府県や京都、平泉のある岩手県に集中しています。群馬県は義経が兄である源頼朝に応じて平泉から鎌倉に向かった際や、頼朝の追手から平泉に逃れた際にも、そのコースから大きく外れている為、当然伝説も少なくなっても仕方のないことと思われます。しかし、軍記物は資料的な価値が低く、態々目立つように有名な神社仏閣や地元の有力者の手助けを借りながら逃避行するとは中々信じられないところです。では冠稲荷神社に伝わる義経伝説が事実かというと良く判りません。冠稲荷神社を崇敬していた新田家が同じ源氏で本流から排斥された義経に大きな思入れがあったのかも知れません。


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