蝉の渓谷(南牧村・砥沢宿)概要: 蝉の渕は、南牧川の浸食作用によって造り上げられた渓谷で四季折々で豊かに表情をかえる南牧村を代表とする景勝地です。岸壁は秩父古生層で構成されていて緻密で硬いのが特徴の1つとされています。渓谷の麓には金沢の俳人闌更が江戸時代中期の安永2年(1773)に建立した「 閑さや 岩にしみいる 蝉の声 」と刻まれた芭蕉句碑があり、名称「蝉の渕付芭蕉塚」として昭和53年4(1978)に南牧村指定名勝に指定されています。この句は松尾芭蕉が元禄2年(1689)旧暦5月27日(7月13日)に奥の細道で山寺立石寺(山形県山形市)を訪れた時に発句したものですが、山寺立石寺のそそり立つ岩壁に設けられた境内と蝉の渕の景観や同じく「蝉」の字に通じるものがあった事から選択されたと思われます。蝉の渓谷は貴重な事から平成20年(2008)に群馬県指定天然記念物及び名勝に指定されています。又、周辺は古くから信仰の対象になっていて鎌倉時代には雁能岩に北条時頼が不動明王(雁能岩不動)を安置、以降、高僧や修験者などの修験の場となりました。
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