曹源寺(さざえ堂)概要: 祥寿山曹源寺は群馬県太田市東今泉町に境内を構えている曹洞宗の寺院です。曹源寺の創建は鎌倉時代初期の文治3年(1187)に新田氏の祖となった新田義重が祥寿姫(義重の娘、源義平の正室、死没年不詳)の菩提を弔う為、六角堂を造営したのが始まりとされます。
以来、新田家歴代の祈願所となり、建武の新政時の建武2年(1335)に、新田義貞が天真祖英禅師を招いて改めて寺院として開山しています。新田家没落後は一族とされる横瀬氏(後の由良氏)が中興開基し、文安元年(1444)には横瀬貞俊が本堂を再建し、天正13年(1585)には北条氏政により禁制を発布しています。
江戸時代に入ると曹源寺は幕府から庇護され慶安2年(1649)には三代将軍徳川家光から朱印状14石5斗を賜り源氏の後裔とされる諸大名から庇護されました。寛政5年(1793)に火災で焼失した跡地に建てられたのが現在の本堂(当時は仏殿として建てられましたが嘉永5年:1852年に本堂が焼失し、その後は本堂として利用されています)で、本尊(魚藍観世音菩薩)を中心に右回りで3回ると同じ道を通らなくても元の位置に戻るという独特な構造で、その形状から「さざえ堂」と呼ばれています。
曹源寺本堂は木造3階建、2重宝形造、桁行9間(16.3m)、梁間9間(16.3m)、高さ16.8m、棟梁は関東の名工町田兵部栄清(京都吉田家門下、龍舞出身)、回廊上には西国三十三所(3階)・坂東三十三箇所(2階)・秩父三十四箇所(1階)を合わせた百観音が安置され、回り切ると全ての観音様を参拝した事になります。
現存する「さざえ堂」としては最大規模を誇り飯盛山さざえ堂(福島県会津若松市)、成身院(埼玉県児玉町)とともに日本三さざえ堂に数えられています。曹源寺本堂は江戸時代後期に建てられた御堂建築の遺構として貴重な事から昭和52年(1977)に群馬県指定重要文化財に指定され、平成30年(2018)に国指定重要文化財に指定されています。
さざえ堂(本堂)北側に位置する「名号角塔婆」は鎌倉時代後期から室町時代初期に藤原秀郷の後裔とされる薗田(園田)家一族が奉納したもので、高さ83cm、幅22cm、天神山凝灰岩製、塔身4面とも「南無阿弥陀佛」の六字名号、保存状態が良く他地域では見られない貴重なものとして平成6年(1994)に太田市指定重要文化財に指定されています。
曹源寺山門は切妻、桟瓦葺き、三間一戸、八脚単層門、外壁は朱塗り、左右には朱色に仕上げられた仁王像が安置されています。鐘楼は入母屋、桟瓦葺き、外壁は柱のみの吹き放し。上州太田七福神(布袋尊)、関東百八地蔵尊霊場第20番札所、新上州三十三観音霊場第7番礼所、新田秩父観音霊場第24番札所。山号:祥寿山。寺号:曹源寺。宗派:曹洞宗。本尊:阿弥陀如来。
曹源寺:上空画像
|