四万温泉積善館(群馬県中之条町)概要: 積善館は群馬県吾妻郡中之条町四万甲に位置しています。当主である関氏の祖は源氏に仕えた武士の家系で寿永元年(1182)に源頼朝から現在の山口県下関市の所領を与えられた事から「関」を名乗るようになったと伝えられています。その後分家して初代となったのが関善兵衛でその後裔が江戸時代中期の元禄4年(1691)にこの地に湯宿を設け、元禄7年(1694)に旅館として本格的な創業となりました。
現在の積善館本館は記録が残っている寛政12年(1800)以前から建てられた建物で、当初は木造2階建て(1階が本屋・2階が宿泊室)、石置の板葺屋根だったものを明治時代になって3階部分を増築しました。湯小屋建築としては群馬県唯一で平面構成も農家建築に非常に似通っていて土間や帳場、座敷などがあり、当主が名主だった事から床の間や平書院、式台など格式が高い仕様も随所に見られます。
積善館本館は江戸時代に建てられた日本最古の湯小屋建築の遺構として貴重なことから平成8年(1996)に群馬県指定重要文化財に指定されています。
又、昭和5年(1930)に造られた「元禄の湯(1階鉄筋コンクリート造、2・3階木造、入母屋、鉄板葺)」と昭和11年(1936)に造られた「積善館山荘(木造2階建、入母屋、鉄板葺)」それを繋ぐ「廊下橋(木造、切妻、鉄板葺、長さ12.6m)」、本館の向かいにある「向新(木造2階建、入母屋造、トタン瓦棒葺)」が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」との登録基準を満たしている事から平成9年(1997)に国登録有形文化財に登録されています(平成26年:2014年に中之条町指定文化財に指定)。
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