長学寺(富岡市)概要: 長学寺は群馬県富岡市上高尾に境内を構えている曹洞宗の寺院です。長学寺の創建は不詳ですが弓削道鏡(奈良時代の法相宗の僧。孝謙天皇に寵愛された事から政治的にも大きな影響力があった。)が崇台山(標高:299m)の麓に薬師如来を勧請したのが始まりと伝えられています。
平安時代初期の承和2年(835)、真済(京都高尾山神護寺の僧)が勅願により一切経を納める為当地を訪れた際、貫前神社の宮司より弓削道鏡縁の地がある事を教わると、そこに一切経を納め祝融山高尾寺として開山しました。
鎌倉時代初期の建久4年(1193)には、曽我十郎五郎兄弟の死を悲しんだ虎御前(曾我祐成の妾、遊女)が信州善光寺(長野県長野市)へ詣でる途中この地を訪れ、兄弟の菩提を弔う為寺院を再興し長学寺に寺号を改称したそうです。
その後も隆盛衰退を繰り返し応安2年(1369)には藤原氏が正法寺(岩手県奥州市水沢区)の通海良義禅師を招いて中興開山、永禄年中(1558〜1570年)には宝積寺九世儀山考が再興しています。
元和2年(1616)に前田利孝が七日市藩の藩主になると歴代の菩提寺と定め、寺領30石を寄進するなど庇護し、寺運も隆盛します。本家筋の加賀前田家の菩提寺である宝円寺(石川県金沢市)や瑞龍寺(富山県高岡市)は何れも曹洞宗である事から、これに習ったと思われます。
又、七日市藩の藩庁である七日市陣屋から、長学寺の境内が北東の方角に当たる為、鬼門鎮護を兼ねていたと思われます。
【 長学寺の境内・堂宇 】−山門は入母屋、銅板葺き、三間一戸、竜宮門(中国風楼門)、上層部は鐘撞堂、花頭窓、高欄付き、外壁は塗屋造り白漆喰仕上げ。本堂は木造平屋建て、入母屋、本瓦葺き、平入、桁行6間、正面1間向拝付、花頭窓付。山号:祝融山。院号:神泉院。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦如来。
【 長学寺の文化財 】−長学寺境内には歴代七日市藩主前田家の墓碑である五輪塔が建てられ平成14年(2002)に富岡市指定史跡に指定されています(長学寺では2代利意・3代利廣・5代利英・6代利理・10代利和が葬られ大型五輪塔が建立されている他、附で過去帳、位牌、木像を所有しています)。
又、虎御前が手植えしたと伝わる虎銀杏は推定樹齢約600年、樹高31m、根周り8.5m、枝張り東西27m、南北15mの巨木で平成10年(1998)に富岡市指定天然記念物に指定されています。寺宝である梵鐘(総高112cm、口径64cm)は室町時代に制作されたと推定され昭和33年(1968)に群馬県指定重要文化財に指定されています。
長学寺:上空画像
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