金谷レース工業(桐生市)概要: 金谷レース工業は群馬県桐生市東久方町に位置しています。鋸屋根工場は大正8年(1919)に建てられた建物で、当時、高級織物産地として有名だった桐生の独特な街並みの一翼を担っています(織物には北側からの均一な採光が必要だった為、工場が大型化すると屋根を鋸状にして北側に天窓を設ける形式が流行した。大型建築の工法が確立し照明も安定供給されるようになると次第に鋸屋根建築も姿を消していきました)。
形式は煉瓦造平屋建、鋸屋根、鉄板葺、建築面積298u、施工は島田組、現在でも多くの鋸屋根の建物が残されていますが、煉瓦造としては桐生市内唯一のものです。当初は8連の建物でしたがが現在は4連だけとなってしまいました。金谷レース工業事務所は昭和初期に建てられた建物で木造2階建て、陸屋根、建築面積71u、外壁は当時流行ったというスクラッチタイル貼りでパラペットや窓周りの意匠など水平線を強調したデザインになっています。
金谷レース工業の鋸屋根工場、事務所は共に当時の桐生市の織物業の歴史を残す建物として貴重な存在で、工場は「再現することが容易でないもの」、事務所は「造形の規範となっているもの」との登録基準を満たしている事から平成10年(1998)に国指定登録有形文化財に登録されています。現在、事務所は飲食店、工場はパン工場として再利用されています。
金谷レース工業:上空画像
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