鳳仙寺(桐生市)概要: 桐生山鳳仙寺は群馬県桐生市梅田町1丁目に境内を構える曹洞宗の寺院です。鳳仙寺の創建は天正2年(1574)、金山城主の由良成繁は家督を由良国繁に譲ると、自らは桐生城(柄杓山城)に退き桐生発展に尽力、その際仏広常照禅師を招き自らの菩提寺としたのが始まりと伝えられています。
成繁は寺領100石を寄進する共に、広大な境内を整備し天正6年(1578)に死去すると当寺に葬られました。天正16年(1588)、国繁は北条家に破れ小田原に身柄が預けられ為、天正18年(1590)の小田原の陣においても結果的に北条家に与した事になりました。このような事情から嫡男の貞繁はあらかじめ豊臣秀吉に通じており改易だけは免れ常陸(茨城県)牛久への転封となりました。
鳳仙寺は庇護者を失い一時衰退しますがその後領主となった徳川家康に旧寺領を安堵した上に10石が与えた事で再び隆盛し元禄元年(1688)、十一世代には曹洞宗別格地(常法幢)の格式を得ています。別格地とは本山に次ぐ格式で、常法幢とは出世道場(住持が天皇からの勅宣によって定められる道場)という意味である事から当時の鳳仙寺の格式の高さを窺えます。
鳳仙寺の現在の本堂は元禄時代以前の建立と推定された建物を享保12年(1727)に大改修されたもので入母屋、桟瓦葺、平入、桁行き9間(19.89m)、梁間8間(16.16m)、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ、八室構成と当時の曹洞宗寺院の名残がある貴重な建物として平成14年(2002)に桐生市指定重要文化財に指定されています。
鳳仙寺山門は江戸時代中期の宝永元年(1704)に建立されたもので三間一戸の八脚楼門で入母屋、瓦葺き、桁行8m、梁間4.4m、上層には高欄を廻し蟇股には干支の彫刻が精巧に彫られるなど意匠的にもすぐれた楼門建築として貴重な事から昭和63年(1988)に桐生市指定重要文化財に指定されています。
鳳仙寺はその他にも天明3年(1783)に建立された輪蔵(木造平屋建、塗屋造、切妻、桟瓦葺、内部に回転式八角経架が設置・桐生市指定重要文化財)や寛永18年(1641)に鋳造された梵鐘(桐生市内最古の梵鐘・藤原朝臣江田讃岐守安重作・高さ117cm・桐生市指定重要文化財)など多くの文化財を所有し、境内に建立されている由良成繁の墓(総高125cm、退化型五輪塔)は昭和46年(1971)に桐生市指定史跡に指定されています。
又、鳳仙寺の大カヤは推定樹齢520年、樹高29.5m、幹周3.72mあり桐生市の保存樹に選定されています。山号:桐生山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦三尊。桐生七福神(毘沙門天)。
鳳仙寺:上空画像
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