旧蚕糸試験場事務所棟(前橋市)概要: 旧蚕糸試験場事務所棟は明治44年(1911)に国立原蚕種製造所前橋支所の本館として建てられたもので木造平屋建、切妻腰折屋根、桟瓦葺、外壁は下見板張りペンキ塗、縦長の上げ下げ窓、レンガ積みの基礎など当時の洋風建築の要素が取り入れられています。
玄関ポーチの屋根は3本1組の柱で支えられ、柱は下から上にかけて細くするエンタシスと呼ばれるギリシャ神殿で用いた方法を採用しています。又、柱の上下は意匠的な飾り、妻面の意匠、屋根の搭屋と避雷針など正面性を演出しています。又、外壁の妻側にはハーフティンバー風になるように化粧板が付けられアーチ状の明り取りも見られます。
当初は岩神町(現在の昭和街三丁目)にあり蚕業試験場、養蚕部などと名称が変わりながら様々な研究成果をあげ日本の蚕糸業の振興に大きな貢献を果たしてきましたが昭和55年(1980)に機能が茨城県筑波学園都市の農林水産省蚕糸試験場に移され、翌、昭和56年(1981)に前橋市に払い下げられ現在地に解体、移築、保存される事になりました。
旧蚕糸試験場事務所棟は明治時代に建てられた洋風木造建築の遺構で当時6地方に設けられた原蚕種製造所支所の唯一の現存建物として貴重なことから昭和56年(1981)に群馬県指定重要文化財に指定されています。現在は前橋市蚕糸記念館として一般公開され内部には養蚕・製糸に関する資料や用具、器械等が展示されています。
前橋市蚕糸記念館:上空画像
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